タイで会社を設立した後の流れは?月次会計作業について
「タイでの会社の設立を検討してはいるが、その後は何をしたらいいのだろう…」
「タイで法人を設立したらその後の月々の税金は大体いくらなのだろうか」
タイで会社設立を考えている方の中で設立後の経営の費用感について疑問を持っている方も少なくないのではないでしょうか?
今回はタイで法人が毎月支払わなければならない税金等の種類と大まかな費用感について説明していきます。
目次
①タイで法人が毎月申告すべき税金等の種類は?
②それぞれの税金の申告期日は?
③申告が遅れるとどうなる?
④毎月の支払い金額の目安
⑤まとめ
①タイで法人が毎月申告すべき税金の種類
タイ法人が毎月税務局に申告しなければならない税金は主に3種類です。さらに加えて被雇用者の社会保険料を申告し、必要に応じて納税する必要があります。それぞれの名前と詳細は以下になります。
毎月申告する税金
●個人所得税(PND1):従業員個人の所得額にあわせて納める税。納税額は累進課税制。
●源泉税(PND53,3):サービスを利用した際に利用者側が負担する税。法人のサービスを利用した際はPND53、個人のサービスを利用した際はPND3で申告する。サービスにはレンタル・広告等も含まれ、種類によって税率は変わる。
●付加価値税(PP30):会社の売上に対して発生する税。日本の消費税にあたる。7%を最終消費者が負担する仕組みのため、会社経費として購入したもののうち対象となる経費分の税金は納税すべき付加価値税額から免除される。
その他の支払い
●社会保険料:月給に応じて決められた一定の金額を納めることにより、指定している病院での基本的な治療や薬の処方が無料で受けられます。
2024年3月現在の社会保険支払額は被保険者の基本給※ の10%分になります。社会保障支払い額は上限を1,500THBとし、会社負担と個人負担が5%ずつです。
例えば月給11,000THBの場合、10%分の1,100THBが社会保険料となり、会社負担が550THB・個人負担が550THBです。月給が15,000THB以上では社会保険料は一律1,500THBとなり、会社負担が750THB・個人負担が750THBです。
※社会保険計算用の基本給で計算します。
②それぞれの税金の申告期日は?
1か月のうち税金を申告するタイミングは種類によって2回に分けられます。
・毎月7日:PND1、PND53.3の申告・支払い期日
・毎月15日:PP30、社会保険料の申告・支払い期日
基本的にはこの日付までに税務局で前月分の税務申告を完了します。
しかし税務局のサイトからログイン・申告する場合には上記の日付よりも期日は遅くなります。
③申告が遅れるとどうなる?
税金・社会保険料の両方において申告が遅れると追徴課税が発生します。申告をしていなかった月に関しては申告分の金額+支払日までの追徴課税が発生します。
これらの税金の申告書や納税後の領収書はBビザやワークパーミットの申請書類にもなりますので期限までに欠かさずに申告する必要があります。
④毎月の支払い金額の目安
会社設立の打ち合わせ時に、ご質問を受けることが多いのが「会社を設立後、税金はいくら掛かってくるのか?」です。以下に弊社でご説明している一般的な例をご紹介します。
【売上が15万THB/月・日本人1名雇用(給与5万THB/月)・タイ人4名雇用(給与1人当たり11,000THB/月)】の場合の目安
No. | 項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
1 | 個人所得税(PND01) | 1,792.00 | 1 | 1,792.00 |
2 | 源泉税(PND53, PND03) | 1,750.00 | 1 | 1,750.00 |
3 | 売り上げに対する付加価値税(PP30/vat) | 10,500.00 | 1 | 10,500.00 |
4 | 社会保険料(social Security) | 4,400.00 | 1 | 4,400.00 |
5 | 労働保険(Workmen Compensation Fund) | 0.00 | 1 | 0.00 |
合計 | 18,442.00 |
1.個人所得税:日本人がBビザを取って働く場合、BOI企業を除くタイ法人では最低賃金が月5万THBと決められており、タイでは個人所得税の納税対象となります。前年の収入によって納税額は決まりますが、月給5万バーツの場合月々の納税額は1,700THBほどです。
2. 源泉税:家賃・広告・会計サービス等の利用したサービスに対する税金になります。オフィスの家賃が高い場合にはこの税金額も上がります。
3. 付加価値税:売上のうち7%分を納税します。付加価値税の申告時に使用できる経費の付加価値税7%は納税額から差し引くことができます。
4. 社会保険料:タイ人従業員の給与11,000THBに対する社会保険料は1,100THB。×4人分の金額です。給与額が上がると上限1,500THBまでの範囲内で支払額も増加します。
(5.労働保険基金:労災に備えた積立式の保険料になりますが、支払いは金額の調整も含めて年に2回となり、毎月の支払いは発生しません。別の機会に改めてご説明します。)
これらが月々に最低限申告すべき内容となります。日本に比べるとだいぶシンプルに感じられるかと思います。業種によって従業員数や経費等の金額に差がありますが、一つの参考にしてください。
⑤まとめ
今回は
・タイで法人が毎月申告すべき税金等の種類は全4種類
・それぞれの税金の申告期日は月に2回
・申告が遅れると追徴課税が発生する
・毎月の支払い金額の目安は大体いくらか
について簡単に説明しました。
今回の例だけでなく、挑戦したい業種・従業員数・経費や売上の目安までご共有いただけましたら、より細かなご案内も可能となりますので、お気軽にお問合せください。